【エヴァ】なぜ人類補完計画は破綻したのか?徹底考察

なぜ人類補完計画は破綻したのか

初号機、覚醒。

しかし、その帰路の途中、最強の攻撃力を持つとされる第14使徒「ゼルエル」が現れます。

左腕の再生が済んでいない零号機の代わりに、レイが初号機で発進しようとしますが、すでにユイの魂は覚醒しつつあり、初号機は、レイやダミーシステムを受け付けません。目覚めつつあるユイは、ゲンドウを拒絶し、シンジ以外に彼女を動かすことはできなくなっています。

アスカは様々な武器を用いて、ゼルエルに抵抗しますが、拒絶型最高レベルを誇るゼルエルのA.T.フィールドによって、攻撃は全て無力化され、ゼルエルの「神の腕」により、頭部を切断されてしまいます。

弐号機の敗北に、決死の覚悟を決めたレイは、左腕しかない零号機でN2爆弾を抱えて特攻をしかけます。しかし、それでもゼルエルには効果はありませんでした。

シンジはその光景を心配そうに傍観していましたが、加持から勇気づけられ、仲間を守るために戦うことを決心します。


加持:そうだ。使徒がここの地下に眠るアダムと接触すれば、人は全て滅びるといわれている。サードインパクトで。

加持:それを止められるのは、使徒と同じ力を持つエヴァンゲリオンだけだ。

加持:シンジ君、俺はここで水を撒くことしかできない。だが、君には君にしかできない、君にならできることがあるはずだ。


ネルフ本部に戻ったシンジは、ゲンドウに向かって、初号機での出動許可を求めます。初めて初号機に乗った時のように、ゲンドウに見捨てられることを恐れ、嫌々乗るのではなく、自らの意思で、ゲンドウの目を見て訴えます。

その決心は、ゲンドウに嫌われても、拒否されても、自分はエヴァに乗るという強い意志があります。今のシンジは、「誰かを守るために」という、高次元の欲求のために動いています。

シンジの猛攻により、ネルフ本部から使徒を叩き出すことに成功しますが、活動限界によって、初号機は停止してしまいます。

使徒は初号機のコアを破壊しようと攻撃を続けます。

動け!動け!というシンジの思いに、ユイが応え、初号機は暴走します。

「今動かなきゃ、今やらなきゃ、みんな死んじゃうんだ!もうそんなの嫌なんだよ!」

暴走した初号機は、ゼルエルに勝利します。しかし、初号機の活動は停止しません。初号機は使徒を食いちぎり、その肉を食べ、直接S²機関を体内に取り込みます。

初号機の覚醒と、初号機がS²機関を得ることによって、神に近い存在になるということは、ゲンドウのシナリオ通りの展開ですが、ゼーレにとっては予想外の事態であり、ゼーレは焦り、ゲンドウを疑い始めます。


リツコ:やはり目覚めたのね、彼女が。

ミサト:使徒を…食ってる…

リツコ:S2機関を自ら取り込んでいるというの?EVA初号機が…

SEELE:EVAシリーズに生まれいずる筈のないS2機関。

SEELE:まさかかのような手段で自ら取り込むとはな。

SEELE:我らSEELEのシナリオとは大きく違った出来事だよ。

SEELE:この修正、容易ではないぞ。

SEELE:我々は、新たな神を作るつもりはないのだ!

SEELE:S2機関を自ら搭載し、絶対的存在を手にしたエヴァンゲリオン初号機!

SEELE:われわれには具象化された神は不要なのだよ。

キール:神を作ってはいかん。

SEELE:まして、あの男に神を手渡すわけにはいかんよ!

SEELE:碇ゲンドウ。信用に足る人物かな?

オーラルステージ

S²機関を得た初号機は、活動を停止しましたが、シンジは初号機から出れない状態にありました。シンジはシンクロ率400%、つまり、完全にL.C.Lになった状態であったためです。

初号機から出るためには、再び、人の形に戻らなければなりません。ネルフ職員は、シンジをサルベージして、人の姿に戻そうとしますが、そのためには、シンジが他者の存在を求め、自分と他者の境界線であるA.T.フィールドを作り出し、自分の体を形にしなければなりません。しかし、シンジはユイの胎内から出ることを迷っていました。

シンジは、内面世界にいるレイから、みんながシンジに優しくしてくれる理由を尋ねられます。

シンジは「エヴァのパイロット」だからと答えます。そして、優しくされたい、認められたいから戦っていると答えます。しかし、そのシンジの抱いている期待は、使徒に敗けてしまった時に失望されるのではないかという恐怖を生み出し、

「誰か僕に優しくしてよ。こんなにまで戦ったんだ。こんなに一生懸命戦っているんだ。」という怒りに変わっていきます。

ゼルエル戦で、自立に向かっていたシンジでしたが、承認欲求を捨てきれず、思うように周囲がシンジを認めてくれないことに憤りを感じます。

そして、他者と一つになり、裏切られることがなく、敵のいない、他者のいない世界を望みます。しかしそれは、死への欲動(デストルドー)です。他者がいない世界とは、死の世界と同義であるためです。サルベージするためには、シンジの「生きたい」という意思が重要になるため、サルベージ計画は失敗に向います。

シゲル:Qエリアにデストルドー反応、パターンセピア。

マヤ:だめです、自我境界がループ上に固定されています!

リツコ:全波形域を全方位で照射してみて!

リツコ:だめだわ…発信信号がクライン空間に捕われている…

ミサト:どういう事?

リツコ:つまり、失敗。

マヤ:変です、塞き止められません!

リツコ:これは…なぜ…帰りたくないの?シンジ君…

シンジを含んだL.C.Lはエントリープラグから強制排出されてしまいます。

ミサトは、ショックから怒りをリツコにぶつけます。諦めきれないミサトは、シンジの名前を呼び続けます。シンジは、ミサトの呼びかけと、L.C.Lのにおいから母ユイを思い出します。

シンジ:匂い…人の匂い…

シンジ:ミサトさん…?

シンジ:綾波…?

シンジ:いや、違う…

シンジ:そうだ、お母さんの匂いだ…

そして、幸せそうなゲンドウとユイが、シンジを抱いている記憶を思い出します。

これはエヴァの力によって、失われていた0歳児の記憶にアクセスできたのか、あるいは、エヴァを介し、ユイの記憶にアクセス出来たのか、真意はわかりません。一般的に、人は0歳児の頃や母親の胎内での記憶を持っていません。しかし、現在の研究では、記憶はないのではなく、アクセスできないと考える「検索失敗説」が支持されており、記憶そのものは脳にはあるとされています。

シンジは自分が両親から愛されていた記憶を思い出したことにより、「退行(胎内回帰願望)」から開放され、サルベージ計画は成功します。

(赤ん坊のシンジがユイの乳を吸っている)


ゲンドウ:セカンドインパクトの後に生きていくのか、この子は。この地獄に。

ユイ:あら、生きていこうと思えば、どこだって天国になるわよ。だって、生きているんですもの。幸せになるチャンスは、どこにでもあるわ。

ゲンドウ:そうか…そうだったな。

シンジ:母さん…

ユイ:決めてくれた?

ゲンドウ:男だったらシンジ、女だったらレイと名づける。

ユイ:シンジ…レイ…(嬉しそうにほほ笑む)

シンジ:母さん…


(暗い海のイメージから、赤い躍動したイメージに変わる)死→生

フロイトの精神分析療法では、患者の抑圧された記憶を発見させることで治療を行います。

例えば、ある女性は、ある時期から、自分の母親を殺したいという衝動が沸き上がってくることに悩まされていました。母のことは尊敬しており、母は自分に優しく、殺したいとなぜ思うのかわからなかったそうです。夢分析やヒアリングの結果、この女性がある男性に一目惚れした際に、母親からひどく責められたことが原因だということがわかりました。母は、話してもいない男性に恋をすることは、軽率なことだと、娘を責めたのです。それ以降、彼女は男のことを思い浮かべるたびに、自分自身を責めました。

男を愛おしく思えば思うほど、それを押さえつけている母に敵意が生まれます。しかし、彼女は母を愛していたため、敵意を意識はしていません。無意識の中で、敵意が生まれ、それが殺意に変わっていったのです。

カウンセリングにより、原因が明らかになったことで、この女性が抱いていた、母への殺意はなくなったそうです。

幼児期のトラウマの治療を専門的に行っている医師、チャールズ・L・ウィットフィールドも、過去のトラウマによって、障害を抱えているアダルトチルドレンは、過去をさかのぼり、抑圧された幼児体験を呼び戻す過程を通じて、自身の内面を育て、過去と決別が可能になると述べています。

つまり、シンジは抑圧されていた記憶を取り戻したことで、過去と決別し、自分に自信を持ち、他者を求める欲求が再び沸き上がり、サルベージに成功したのです。

その後、リツコとミサトの車で流れるカーラジオでは、「オーラルステージの…心理学者が…つまり、母親といつまでも一緒にいたがる… いつも何かに頼って生きているのね。」と流れています。

オーラルステージとは、フロイトの深層心理学における、口唇期を指しています。口唇期(母から乳を吸う時期)で十分に欲求が満たされていない子は、愛情を強く求める傾向にあり、母親といつまでもいたがり、他人に対しても頼りがちになるとされています。そして、人に嫌われることを怖がり、認めてもらえないと悲観したり、批判しやすくなります。まさに、これまでのシンジの性格といえます。

シンジはトラウマによって、母の記憶を消していたために、口唇期の記憶がなくなり、口唇期的性格になっていたと考えられます。しかし、エヴァの中で、母の乳を吸っていた頃の記憶を思い出し、口唇期的性格を脱することができました。前述したようにフロイトの深層心理学では、抑圧され、無意識化に追い込まれていた記憶を呼び覚ますことで、心が健全な状態に戻るとされています。

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9 Thoughts to “【エヴァ】なぜ人類補完計画は破綻したのか?徹底考察”

  1. John Smith

    異議申し立てしたら動画戻るんじゃないですか?偽名義での攻撃なのでは

    1. unknown

      返信遅くなり、ごめんなさい。その可能性もありますね。
      次はしっかり武装して、消されたときは異議申し立てしたいと思いますw

  2. John Smith

    異議申し立てしたら動画戻ったりしないのですか?私はこの動画がとても好きでした。今削除されているのはとても残念です

  3. 日向

    以前、作成された動画を拝聴しとてもわかりやすかったので
    もう一度見たいなと思ったのですがYouTubeから削除されてしまったようです。
    もう一度youtubeにあげることが難しければ、ニコニコ動画に上げ直して頂いて
    リンクを修正して頂けないでしょうか?

    お忙しいところ、お手数おかけしますが素晴らしい動画だったので
    再び見れる事を楽しみにしています。

    1. unknown

      返信、遅くなりすみません。
      新しいエヴァ動画を作り直そうと思います。すこし時間がかかると思いますが、よろしければ、そちらを見てもらえると嬉しいです。

      1. mado

        新しいエヴァの動画、待ってます

        1. unknown

          ありがとうございます!

  4. aki

    サラさんは精神分析学を深く理解されているように、この考察を見ると思えますが、その道の勉強はやはり大学などでなさっているのでしょうか?それたまある程度は、独学でも行える範囲なのでしょうか?

    1. unknown

      私の大学での専攻は、経営管理でした。心理学は趣味で図書館の本を借りて勉強しています。
      私の知識は、ぜんぜん深くないですよ。心理学を勉強されている方が私の動画を見たら、ツッコミどころ満載と思いますw