【エヴァ】2章 生命の樹が現れた理由

皆さんこんにちは、禍りんねです。

第1章では、第一始祖民族についてお話ししましたが、この章では補完計画のキーマテリアルともいえる、生命の樹(セフィロートの樹)と黒き月について考察し、なぜ補完計画に生命の樹が現れたのか、その理由についてお話ししますが、その前に、ターミナルドグマの最深部で眠っている、リリスについて触れさせてください。第1章でリリスは、アダムを追って来たと説明しましたが、リリスは単にアダムを追ってきただけでなく、アダムを恨んでさえいたと考えられます。そして、この設定は、旧エヴァだけではなく、新劇場版でも継承されており、アダムとリリスの和解が、エヴァのテーマの一つであると思われます。まずは、リリスがアダムを恨んでいると考える理由からお話しさせていただきます。

リリスとは何か

前章でお話ししたように、リリスは知恵の実を食べ、リリン(人類)に知恵を与えたものの、生命の実は食べてはいないため、無尽蔵のエネルギーは与えられませんでした。そのために、リリスは、当初の計画を無視して、生命の実を持つアダムを追ってきたと説明しました。このアダムとリリスの因縁について、中世の文献、「Ben Sira’s Alphabet」を元に考察したいと思います。

リリスという単語は、様々な伝承や書物に登場し、大抵は悪霊や悪魔という扱いをされます。しかし、「Ben Sira’s Alphabet」に代表される、中世に誕生したリリス像では、リリスはアダムの伴侶として現れます。つまり、アダムがイヴと出会う前に、アダムと結ばれるはずだった女性として、描かれています。

このイヴ誕生の前に、すでに最初の女性が存在したという話は、アダムやイヴが登場する創世期の解釈の違いがもとになっています。聖書に馴染みがない方の為に、簡単に創世期について説明します。

アダムとイヴは創世期2章から登場します。神はアダムを大地から作り、アダムの助け手として、イヴをアダムの肋骨から作られました。

第2章より

主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた。

創世記(口語訳). (2021年6月4日16:58). Wikisource, . 2021年9月4日15:39

ところが、創世期第1章では、既に男と女が神によって作られています。

第1章より

神は自分のかたちに人を創造された。

すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。

創世記(口語訳). (2021年6月4日16:58). Wikisource, . 2021年9月4日15:39

もちろん、1章と2章が同じことを指しているという見方も可能ですが、この点について、「Ben Sira’s Alphabet」では、イヴが作られるより前に、アダムの伴侶として、神はリリスを用意していたとしています。

He also created a woman, from the earth,

as He had created Adam himself, and called her Lilith

(神はアダムを作ったのと同じように、女も土から作られた。そして、女をリリスと呼ばれた)

Ben Sira’s Alphabetより引用 日本語訳は禍りんね

つまり、この文献では、1章と2章に登場する女性は別の女性であるとしています。

ではなぜ、神はアダムの伴侶として、既にリリスを作ったのにもかかわらず、もう一度、イヴを作らなければならなかったのでしょうか。

リリスはイヴのように、アダムの肋骨から作られたのではなく、アダムと同じように大地から作られています。つまり、イヴはアダムから作られ、アダムの助け手として作られましたが、リリスはアダムと同じように作られ、アダムとは対等の地位にあります。にもかかわらず、アダムはリリスに対し、自分に仕えるように強要しました。その結果、二人は言い争いになります。

Adam and Lilith immediately began to fight. She said, ‘I will not lie below

(アダムとリリスはすぐに言い争いを始めた。「私はあなたに仕えることはありません。」)

(中略)

We are equal to each other inasmuch as we were both created from the earth.

(「私たちはどちらも土から作られたのだから、お互いに平等のはずでしょう。」)

Ben Sira’s Alphabetより引用 日本語訳は禍りんね

口論の末、リリスはアダムの元を去りました。神は説得の為に、天使をリリスのもとへ向かわせます。そして、リリスが断った場合、彼女に呪いがかかることを伝えました。

「もし彼女が戻らなければ、彼女は毎日100人の子を失うだろう」

If she agrees to come back, what is made is good.

If not, she must permit one hundred of her children to die every day.

(もし彼女が戻らなければ、彼女は毎日100人の子を失うだろう)

Ben Sira’s Alphabetより引用 日本語訳は禍りんね

しかし、リリスは天使の説得を断り、自分の子が死ぬことを受け入れます。しかし同時に、アダムの子を呪うことを誓いました。

このアダムとリリスの話が、エヴァのアダムとリリスの設定のもとになっていると考えられます。

エヴァの世界でも、アダムとリリスは対等の地位にあり、エヴァ、つまり、イヴはアダムの体から作られており、対等の地位にはありません。(注:初号機はリリスから作られている)

そして、アダムとリリスの間に仲たがいがあったことを示唆する場面は、新旧のエヴァでも度々登場します。エヴァ2における、サードインパクトの際には、綾波レイが「…使徒と呼ばれたものも、すべてここに。あなたと共に…。」と言い、渚カヲルは「…リリス、…そうか、僕は許されるのか。」と言っています。リリスである綾波レイは、呪うべきはずの、アダムの子である使徒をリリンと共に補完し、アダムである渚カヲルすらも受け入れています。このシーンには、アダムがリリスに赦されたという、意味があるのではないでしょうか。実際には、アダムの民とリリスの民の仲たがいというよりも、”設計者”である渚カヲルの魂と、同じく”設計者”である綾波レイの魂の間に、何かしらの確執があり、それが解消されたと考えらえます。(”設計者”については、1章を参照)

新劇場版でも、アダムである渚カヲルは、円環の世界で永遠に死を繰り返すという呪いのような状態にありますが、

「僕の存在を消せるのは、真空崩壊だけだ、

だから僕は定められた円環の物語の中で、

演じることを永遠に繰り返さなければならない。」

シン・エヴァンゲリオン劇場版 より引用

シンジがエヴァ、つまり、創世期でいうイヴの存在しない世界、Neon Genesisを作ったために、アダムの伴侶はイヴからリリスに書き換えられたと言う見方もできます。

シンジ「そうだ、僕もエヴァに乗らない生き方を選ぶよ、

時間も世界も戻さない、ただエヴァがなくてもいい世界に書き換えるだけだ。

新しい人が生きていける世界に」

レイ「世界の新たな創生。Neon Genesis」

シン・エヴァンゲリオン劇場版 より引用

そして、最後の宇部新川駅のカヲルとレイは、アダムとリリスが結ばれている描写であると考えることもできます。また、アスカが一人で座っているのは、新劇場版での式波アスカが、エヴァ(イヴ)をもとに作られたクローンであり、13号機にアスカが渚カヲルとダブルエントリーしていることからも、アスカはイヴを暗示しており、アダムとリリスが結ばれたために、

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