【エヴァ】2章 生命の樹が現れた理由

イヴは一人で座っているという見方もできます。シン・エヴァの特典として配られたEXTRA-EXTRA-EXTRA、いわゆる、”薄い本”には、宇部新川駅の二人と同じ格好をしたカヲルとレイが、シンジに似た子供を肩車しているイラストが掲載されており、仲睦まじい夫婦として描かれています。ここにも、最後にはアダムとリリスが和解したという意味があるのかもしれません。このあたりは、いずれ、新劇場版の考察の際に、詳しくお話ししたいと思います。

Ben Sira’s Alphabet」に話を戻しましょう。

エヴァにおける、リリンと使徒の違いもこの文献に関係があると考えられます。

文献のリリスが、子を毎日失うという呪いをかけられているように、エヴァの世界のリリスは子を産み続けますが、リリスの子らは、使徒のように、長く生きることはできず、貧弱で短命という性質を受け継いでいます。

碇ゲンドウ「我々は、知恵と死と、

       産み増える事しか受け取れなかったのだ。」

新世紀エヴァンゲリオン2 より引用

そして、文献のリリスがアダムの子供を呪うことを誓ったように、リリスやリリンは、アダムの子である使徒と戦うことが宿命づけられています。

以上から、エヴァンゲリオンに登場するリリスについては、中世に成立したBen Sira’s Alphabetに代表される、リリス象がモデルになっていると考えられます。

生命の樹と神の収縮

ここからは、なぜ補完計画の際に、生命の樹(セフィロートの樹)が出現したのか、なぜ人の魂は黒き月に還るのか、その理由についてお話しします。

近代のカバラーに現れた、ルリア派の考えの一つには、「ツィムツーム(神の収縮)」というものがあり、神が世界を創造される前の世界、つまりは、創世期第1章の前の出来事について述べられています。この「ツィムツーム」が補完計画や黒き月のもとになっていると私は考えているのですが、ルリア派に詳しい方は多くはいないと思いますので、まずはざっくりとその内容に触れておきたいと思います。

遥か昔、世界には無限なる神しかいませんでした。無限の存在である神は自らのみで世界を満たし、神以外は一切存在していない、宇宙さえ存在しない、神だけが存在する世界がありました。このままでは、神以外のモノは存在できません。そのために、神は世界を創造する準備として、自らの内に球状の空間(清浄空間)を作りました。(これが黒き月に相当します。)そこに聖なるエネルギーを送り込み、まず「アダム・カドモン(原初の人間)」が現れます。このアダムは、エデンの園のアダムではなく、神の似姿を表し、理想的な人間のモデルとされています。エヴァの世界では、始原の存在がこれに相当します。そして、このアダム・カダモンが形態化して、10個のセフィロートが形成されます。これこそがエヴァのサードインパクトに登場した「生命の樹(セフィロートの樹)」です。

生命の樹をよく見ていただくと、根が上にあり、枝が下にあります。つまり、普通の樹と上下が逆さまになっています。これは、生命の樹の役割が、天の神的なエネルギーを吸い込み、地の世界に与えることにあるためです。つまり、根によって神的エネルギーを吸い上げ、地の枝によって我々の世界に神的エネルギーが満たされるのです。しかし、この生命の樹は神から注がれ続ける、強力な神的エネルギーに耐えきれず、上位の3つのセフィロート(ケテル・ホクマー・ビナー)を残して割れてしまいました。生命の樹が砕けてしまったために、我々の世界には、神的エネルギーが満たされなくなってしまいました。

人が神的エネルギーを再び得るためには、生命の樹を修復(ティクーン)するしかありません。そして、この修復作業こそが、後の人類補完計画の儀式となります。

人類補完計画では、エヴァを依り代として、ロンギヌスの槍を使うことで、生命の樹に還元させています。これによって、生命の樹の修復は完遂し、リリスは、完全なアダムカドモンに至ります。

ゼーレ:最深度情報

(略)

教義とは、アダム・カダモンへの道、すなわち不老不死の神に近づく事である。

新世紀エヴァンゲリオン2 より引用

まとめますと、人類補完計画の儀式とは、生命の樹を修復することであり、修復した生命の樹を通じて、リリスを完全なアダム・カドモンに至らせ、黒き月(清浄空間)に人の魂を還元し、神が世界を作ったプロセス、ツィムツーム(収縮)を逆転させることにあると考えられます。しかしながら、実際には、シンジが補完を拒否したことにより、初号機はリリスを飛び出し、力を失ったリリスは、崩れてしまうという結果になりました。

終わりに

今回は、神話の情報が多かったため、少し難しいと感じられた方も多かったかもしれません。しかし、見ていただいたように、エヴァと神話は深く結びついており、今後、エヴァの考察を進めていくうえで、どうしても触れておかなければなりませんでした。退屈な部分も多かったと思いますが、ここまで我慢して視聴してくださった皆様、ありがとうございました。

私は神学については素人ですので、間違いなどあれば、ぜひともコメント欄でお教えいただければと思います。修正版で参考にさせていただきたいです。

次回からは、リリンが、知恵の実の能力を持つがゆえに、人間関係に傷ついてしまう理由、そして、人類補完計画が必要な理由をお話しします。

よろしければチャンネル登録をお願いします。

それでは、また次章でお会いしましょう。

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