【エヴァ】3章 なぜ生きるのが辛いのか。欠けた心の原因

皆さん、こんにちは。禍りんねです。

エヴァにおいて、知恵の実は最も重要なアイテムの一つです。なぜ重要かと言えば、人類補完計画の原因であるためです。リリンは、知恵の実を食べた、リリスによって作られたため、知恵を得ましたが、同時に、心にはリリンを苦しめる空白が生まれました。

リツコ「そうよ。私たちの心には常に空白の部分、喪失したところがあるわ。」

新世紀エヴァンゲリオンより引用

リリンはその空白を埋める為に、人類保管計画を目指すことになったのです。つまり、エヴァのストーリーの起源でもあるわけです。

テロップ「人々が失っているもの

     喪失した心

     その空白を埋める

     心と魂の、補完が始まる」

新世紀エヴァンゲリオンより引用

エヴァは聖書に関係が深いですが、聖書でも、人は知恵の実を食べたために原罪を背負っています。

人類補完計画で語られている、人の心の空白とは、1.不安、2.承認欲求(他者の恐怖)の二つです。

リツコ「心がどこか欠けているの。」

アスカ「それが恐いの。」

レイ「不安なの。」

(中略)

レイ「欲しいものは」

テロップ「接触と承認」

新世紀エヴァンゲリオンより引用

しかし、不安も承認欲求も、知恵の力の副作用ともいえ、人が賢いがために抱えることになった苦難です。そのため、人以外の生物や使徒は、「不安」や「承認欲求」に苦しむことはありません。具体的には、人は「想像力」を持つために「不安」になり、「心の理論」を持つために「承認欲求」があります。

知恵の実は神になるために必要なマテリアルでもあり、使徒がリリスを襲撃する理由でもあります。

ゲンドウ「(略)だが使徒も同じく

      知恵の実を求めてリリスを目指す」

新世紀エヴァンゲリオン2より引用

では、なぜ神になるために、知恵の実が必要なのでしょうか。これは、人が「想像力」と「心の理論」を持つことで得た、人固有の能力「自由意志」によるものだと考えられます。しかし、この「自由意志」にも副作用があり、人は自由によっても苦しめられています。

この章では、

1.なぜ人は不安になるのか(想像力vs不安)

2.なぜ他者に恐怖するのか(心の理論vs承認欲求)

3.なぜ自由に苦しむのか(自由意志vs自由の刑)

の順で、知恵の実の能力と、副作用である、原罪についてお話ししていきます。

まずは、なぜ人は不安になるのか、「想像力」の話から始めたいと思います。

なぜ人は不安になるのか(想像力vs不安)

想像力は、使徒はおろか、人以外の動物も持っていないものと考えられます。(大型類人猿などには、その萌芽は見られる。)

想像力とは、頭の中に別の世界を作る能力と言えます。心理学では「表象」と呼びます。”別の世界”とは、具体的には、「時間」と「空間」の二つに分けられます。つまり、「時間」とは、まだ起きていない未来の世界、あるいは、すでに過ぎてしまった過去の世界を頭の中に作る能力であり、「空間」とは、目の前にない、非現実の世界を頭の中に思い描く能力です。普段、人が当たり前に行っている、この想像や空想という行為ですが、進化心理学の研究では、異論はあるものの、この能力を持つ生物は人のみであると考えられています。

まず、「時間」については、遅延反応実験が参考になります。簡単に言うと、動物に餌を見せ、それを布などで隠します。そこに餌が隠れている事をどれくらい覚えていられるかという実験ですが、ネズミなどは数秒、犬で数分程度しか覚えられません。しかし、人は数日、文字や図を使えば、数年でも覚えることができます。(Walter Samuel Hunter “The delayed reaction in animals and children”を参考)

日をまたいだ出来事が覚えられないということは、そもそも、「過去」や「未来」という概念を理解することが難しくなります。そのためか、チンパンジーに手話を教えるという試みがありますが、過去や未来を表現する記号は未だ、チンパンジーは獲得できていません。

ここで補足しておきますと、記憶には様々なものがあり、脳の保存されている場所も違います。例えば、自転車の乗り方のような記憶もあります。(”手続き記憶”)これは動物も長期間覚えることができますし、ベルを鳴らすと、餌を取りに来るというような「学習」や、ペットが飼い主を覚えているというよな、意味記憶というものもあり、これも長期間覚えることができます。私がこれまで述べてきている、人だけが長期間保持できるのではないかという記憶は「エピソード記憶」と呼ばれるもので、頭の中に、過去の出来事を映し出す能力で、例えば、遊園地が廃園になるニュースをテレビで見て、自分がその遊園地で遊んでいた光景を頭の中で再生するようなものです。先の実験のように短期間であれば、人以外の動物もエピソード記憶に近いものを持っている可能性はありますが、日をまたいでのエピソード記憶を持っているのは恐らく人だけではないかと考えられます。心理学者トーマス・ズデンドルフはこの能力を「心の時間旅行」と呼びました。

未来について考えることができなければ、準備することはできません。道具を使って、食料を得る動物は多数見られますが、道具を事前に準備しておいたり、効果があった道具を後の為に保存しておくという行動は未だ報告されていません。特殊な例は巣作りや子育てなどですが、これは本能にしたがって行動している結果です。以上の理由から、日をまたいで、意識的、かつ、計画的に行動できるのは、人だけであると考えられます。

次に、「空間」について説明します。先に説明した、餌を隠した実験に似ていますが、人以外の動物は、布などでオモチャを隠すと、しばらくすると興味がなくなり、布の中から、再びオモチャが現れると驚きます。人の場合は、布で見えなくなっても、オモチャがその場所にあることはわかっています。この能力は、「モノの永続性」と言いますが、生後100日ほどで身につくと考えられています。また、手話を覚えたチンパンジー同士の会話でも、目の前にいない仲間について、話したという報告はまだなく、見えないものに興味を示しません。チンパンジーに絵を描かせるという実験でも、視界にないものを描いたという報告はまだありません。以上から、人以外の動物は、視界にない仲間やモノを想像する能力(表象する能力)を持っていないと考えられます。

以上のように、「時間」と「空間」を超えた想像を行うことができるのは、人間だけだと考えられるのですが、なぜこの能力がそれほど重要なのでしょうか。ひとつの例としては、武器の製作や罠の設置が考えられます。例えば、石を削って槍や弓矢を作ることで我々の祖先は狩りをしてきましたが、武器や防具の作成には、長い時間がかかりますので、「時間」という概念がないと、準備ができません。また、「空間」の概念によって、頭の中に、獲物や狩場を描けた方が、より有用な道具を作ることができます。罠についても、クモのように罠を仕掛ける生物はいますが、人のように、複数箇所に罠を仕掛けたり、

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