【エヴァ】9章 碇シンジはなぜ他者を回避するのか

碇シンジはなぜ他者を回避するのか

自分を卑下することが目的になっている場合、自尊心を損なわせ、新しい交友関係の構築や新しいことを始める場合の足かせになってしまいます。シンジは他者に侮蔑の言葉を使うことはほとんどありませんが、自分に対しては容易に使います。

シンジ「殴られなきゃならないのは僕だ!僕は卑怯で、臆病で、ずるくて、弱虫で…」
新世紀エヴァンゲリオンより引用

そして、あらゆることに対して、自分は能力がないから仕方ないと諦めています。

シンジ「しょうがないですよ。僕には向いてないんですから。それに乗りたくて乗っているワケじゃないんだし。」
新世紀エヴァンゲリオン 2巻 漫画/貞本義行 原作/GAINAX より引用

基準7:「恥ずかしいことになるかもしれないという理由で、個人的な危険をおかすこと、または何か新しい活動にとりかかることに、異常なほど引っ込み思案である」

(7) 恥ずかしいことになるかもしれないという理由で、個人的な危険をおかすこと、または何か新しい活動にとりかかることに、異常なほど引っ込み思案である
「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」より引用
編集:American Psychiatric Association
出版社:医学書院

このタイプの人は、挑戦してみたり、好奇心を優先させることよりも、安定と安全を望み、自分がやりたいことよりも、やれそうなこと、失敗しなさそうな仕事を選びます。これはプライベートな選択にも及び、例えば、服装が変かもしれないという理由で、就職の面接を断ったり、友人の誘いを断ったりすることがあります。

以上、7つの基準のうち4つ以上が当てはまることが、パーソナリティ障害の診断の基準になります。ただし、正確な診断は医師によって行われる必要があるため、該当したとしても、それだけで障害があると確定するわけではありません。個別の環境や経験によって、診断は臨機応変に行われるべきであり、他の疾患が原因の場合もあります。また、シンジが物語の中で徐々にパーソナリティ障害を克服していくように、子どもの頃に現れたパーソナリティ障害の特性が、大人になるまで持続するケースは少ないという認識は必要になります。

最後に、パーソナリティ障害を持つヒトの一つの特徴として、「離脱的性質」というものがあります。このタイプの人は、人生の体験に楽しみが見いだせず、何事に対しても気力がなく、基本的に強制的でないと行動できません。14歳のシンジはこのタイプに該当し、やりたいこともなく、死んでも別に構わないと作文に書いています。

シンジ「僕には将来なりたいものなんて何もない。夢とか希望のことも考えたことがない。14歳の今までなるようになってきたし、これからもそうだろう。だから何かの事故やなんかで死んでしまっても別にかまわないと思っていた」
新世紀エヴァンゲリオン 1巻 漫画/貞本義行 原作/GAINAX より引用

シンジの離脱的性質は、自分を無力で必要のない人間であると思い込んでいることが影響していると考えられます。

庵野秀明「他人との接触をこわがっています。その行為を無駄だとし、自分を理解してもらおうと努力を放棄し、閉じた世界で生きようとしています。父親に捨てられたと感じたことから、自分はいらない人間なんだと一方的に思い込み、かといって自殺もできない、臆病な少年です。」
新世紀エヴァンゲリオン 1巻 漫画/貞本義行 原作/GAINAX より引用

しかし、物語の進行で、シンジは自分の能力や資質ではなく、自分そのものを受け入れてくれるミサトや友人に出会い、真の人間関係は有用性ではないことを理解します。つまり、不完全な自分でも、

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