【ガンダム】アニメでは語られなかったジオン独立戦争 -戦争の理由-

皆さん、こんにちはSallaチューブのサラちゃんです。

今回は、テレビアニメ「機動戦士ガンダム」では語られなかった、ジオン独立戦争についてまとめてみました。テレビでは、なぜジオン・ズム・ダイクンがジオン共和国を樹立したのかといった政治的背景や、圧倒的戦力差にも関わらず、なぜジオン公国が宣戦布告に踏み切れたのかといった軍事的背景はほとんど語られていません。それを明らかにするため、この動画では、前半部分で、宇宙世紀の始まりから、ジオン独立戦争に突入してゆくまでの歴史を時系列で解説します。そして、動画後半部分で、第二次世界大戦における日本やドイツ、アメリカ独立戦争を基に、なぜジオン公国は開戦しなければならなかったのか、地球連邦政府はなぜジオンの軍拡を止めることができなかったのか、その理由について、Sallaちゃんなりの考察を説明したいと思います。まずは、宇宙世紀が始まるより少し前から、なぜ人類が宇宙に移民しなければならなかったのかについて見ていきましょう。

宇宙世紀元年~ジオン独立戦争(一年戦争)までの歴史

21世紀の中頃、地球は爆発的に増える人口、それによって引き起こされる環境問題、宇宙の資源開拓の必要性という3つの問題に直面していました。

環境、人口、資源についての問題は、現代の私たちも同様に抱えていますが、このような問題は各国が個別に対応して解決できるものではありません。例えば、アフリカにおける人口爆発を止めようとする一方で、日本ではいかにして出生率を上げるかについて議論されています。環境問題についても、世界の国々が排気ガスを制限しても、それを破る国家があれば意味がありません。このようなグローバルな問題は、それぞれの利害が反発し、根本的な解決に至っていません。

そこで、ガンダムの世界に生きる人々は、国家の垣根を超えて、問題を解決する世界政府、「地球連邦政府」を発足させます。この歴史上、前例のない政府は、先の3つの問題を同時に解決する「宇宙移民計画」を推進します。

しかし、当然として、宗教的、政治的、経済的な理由で、地球の統一化に抵抗する勢力が生まれました。このような抵抗勢力は「分断主義者」と呼ばれ、彼らによるテロや紛争が世界中で相次ぎ、多くの死者が出ました。

始めは無謀とも言われた宇宙移民計画でしたが、宇宙に人間が居住することを可能にするスペースコロニーの建造に成功し、人類の移民の始まりを区切りとして、それまで2千年以上使い続けた西暦という記年法が宇宙世紀に変わりました。

そして、その宇宙世紀の始まりを祝うセレモニーが宇宙ステーション首相官邸「ラプラス」で行われました。

しかし、この式典は分断主義者による爆破テロによって大惨事となり、連邦政府初代首相リカルド・マーセナスを含めた、各国の代表者達は爆死してしまいます。

連邦政府はすぐに分断主義組織によるテロであると発表、「リメンバー・ラプラス」のスローガンの下、徹底的な抵抗勢力の弾圧に乗り出します。この弾圧は「地球上の紛争のすべての消滅」宣言がなされるまで、20年近くも続きます。結果的にこのテロ事件をきっかけとして、地球連邦政府の権力に反対する勢力は完全に排除されました。

実際には、この爆破テロは連邦政府の保守派による自作自演テロであり、元々、分断主義者たちに対してリベラルであったマーセナス首相や各国の有力者達を謀殺し、分断主義者の弾圧に世論を誘導し、さらに、地球政府の権力を増強するという一石三鳥の策でした。このような自作自演テロは古来の戦争では常套手段であり、疑惑も浮上しましたが、ただの陰謀論としてかき消されてしまいました。

連邦政府の保守派の思惑通りに事は運び、連邦政府の基盤は強固になりましたが、官僚制による連邦政府至上主義が生まれ、政治は腐敗していきます。

そのような事件はあったものの、移民政策は続行され、始めの移民が宇宙に移り住んでから約40年で、総人口の半数が宇宙(そら)に上がりました。

当初は人類すべてが宇宙に移民する計画でしたが、地球の人口が激減したことで大気汚染が改善され、地球連邦政府は移民の打ち切りを発表します。

これまでに移民した人々のほとんどは志願者ではなく、半強制的に連行され、地球には地球連邦政府関係者や富裕層のみが残りました。この時から、支配する人々「アースノイド(地球人)」と支配される人々「スペースノイド(宇宙人)」という区別が生まれ、年を経るごとに、差別や搾取が色濃くなっていきます。

政治家や官僚はアースノイドが大半を占め、スペースノイドにとって不利な法律や税制が次々に可決されます。

例えば、コロニーに住む人々は半ば強制的に送られてきたにもかかわらず、コロニーの建設費や維持費を課税され、地球からの移動にかかった渡航費を借金として背負わされます。その借金は孫の世代まで残る莫大な金額で、その借金を返済するまでは地球に戻ることが許されません。

このような不均衡からスペースノイド達の不満は蓄積され、やがて、一つの思想が生まれます。その思想は「エレズム」と呼ばれます。エレズムとは、本来の移民計画のように、全ての人類が宇宙に移民し、地球を全人類の聖地として、禁足地にしようというものです。そもそも、地球と宇宙に分かれて住むからこそ、差別や争いが生まれるのであり、全ての人類が宇宙に上がれば、憎しみ合うことはないという思想です。

同様に、地球に住む政治家の中からも、スペースノイドを救済しようとする議員が現れます。

ジオン・ズム・ダイクン議員は、地球政府が一方的にコロニーの住民を統治するのではなく、コロニーの住民達に自治権を与え、自ら統治させようとする「コントリズム思想」を提唱しました。

ジオン・ズム・ダイクン

一つのコロニーに居住可能な人数は約4000万人で、そのコロニーが集まったサイドには、13億人が生活しており、自治をするには十分な規模の人口と言えます。

しかしながら、地球に住むアースノイド達にとって、コロニーは搾取の対象でしかなく、コロニーという名が示すように、植民地と考えられていました。アースノイドの権益を放棄するというダイクンの提案に賛同する議員はおらず、ダイクンは議会で孤立します。

議会での改革をあきらめたダイクンは、地球から最も離れたコロニー群、サイド3に移動し、宇宙移民の間に土着しているエレズム思想、コントリズム思想、それにニュータイプ思想を合わせたジオニズム思想を提唱、実践します。ニュータイプ思想とは、人類が宇宙環境に適することで、人類は新たな進化を遂げ、旧人類を超越した人々(ニュータイプ)が生まれ、政治や経済の分野において社会をリードし、物質的な豊かさだけでなく、精神的にもよりよい社会を築いていくというものです。(※戦闘能力だけではない)

U.C.0053、ダイクンはサイド3の首相に選出されます。そして、その5年後には、デギン・ソド・ザビとジンバ・ラルの支援を受け、サイド3の独立を宣言、ジオン共和国を樹立します。


デギン・ソド・ザビ

ジンバ・ラル

この時、ジオン共和国は治安維持目的として、国防隊を発足させましたが、地球連邦政府はこれを軍事力と認識。翌年に経済制裁(バルド政策)と地球連邦軍宇宙艦隊の増強、小惑星ルナツーの軍事基地化を目的とする60年代軍備増強計画を発動します。

小惑星ルナツー

ダイクンは交渉による、平和的なサイド3の独立を目指し、連邦政府に「コロニー自治権整備法案」を提出しますが、結果は廃案。ここでダイクンの交渉による独立案は絶望的となります。

さらに、ザビ派とダイクン派で議会は2分され、その裏では流血を伴う謀略が繰り返されるようになります。

U.C.0068、ジオン共和国に暗雲が立ち込める中、ダイクンは心臓病でこの世を去ります。ザビ家による暗殺という噂も流れましたが、真偽は不明のまま、後継者にデギン・ソド・ザビが就きます。

その直後に起こったテロにより、デギンの次男サスロ・ザビが死亡、三男のドズル・ザビが負傷します。

サスロ・ザビ

ザビ家はこれを、ダイクン派による謀略であると喧伝し、ザビ家独裁に抵抗していたダイクン派の一掃に乗り出します。ダイクン派の筆頭ジンバ・ラルは徹底抗戦の構えを見せましたが、ダイクンの寵児、キャスバル・レム・ダイクン(後のシャア・アズナブル)とアルテイシア・ソム・ダイクン(後のセイラ・マス)の身を案じ、2人と共に地球に逃れます。

これによりザビ家による独裁が完成し、デギンは国名をジオン共和国からジオン公国に改名、自身が公王の座に就きます。

ダイクンは代表者たちによる共和制によって政治を行っていましたが、ザビ家は独裁政治を執り、首相は存在するものの、形式上の代表でしかありませんでした。また、デギンの長男ギレン・ザビはダイクンのニュータイプ思想を歪曲し、スペースノイドはアースノイド達よりも優れた人種であり、スペースノイドがアースノイドを支配すべきとする「選民思想」によって国民を扇動。ダイクンを民族の象徴として担ぎながら、ジオン公国の軍拡を進めていきます。

U.C.0078、ジオン公国が国家総動員法を発報。政府が公国内の人的・物的資源を統制運用し、軍人以外の民間人をも戦争へ動員することが可能になり、総力戦の構えをとります。

そして、翌年のU.C.0079。人類史上、最悪の一週間が始まります。

ジオン公国総帥ギレン・ザビによる宣戦布告演説が行われ、そのわずか3秒後にジオン公国艦隊による初撃が下されます。

キシリア・ザビ突撃機動軍司令が率いる艦隊が月のグラナダを制圧。それと同時に別動していたドズル・ザビ宇宙攻撃軍司令が率いる艦隊がサイド1・2・4に対して奇襲攻撃。

わずか40時間の電撃侵攻で3つのサイドは壊滅。28億人の命が宇宙に消えます。

そして、ジオン公国は戦力差30対1の劣勢を挽回する必勝の作戦を開始します。制圧したサイド2にある第8番コロニー「アイランド・イフィッシュ」に核パルスエンジンを装着。コロニーを地球に落下させる「ブリティッシュ作戦」を発動します。

コロニーの落下目標地点は地球連邦軍総司令部がある南米ジャブロー。天然の地下空洞を利用して作られた難攻不落の要塞です。

それを察知した連邦軍は新造したマゼラン・サラミスからなる宇宙艦隊で応戦。地球からも大量の核ミサイルが発射され、落下するコロニーを迎え撃ちます。

しかし、ジオン公国軍の防衛も堅く、コロニーの破壊には失敗します。それでも、連邦軍の猛攻によりコロニーは瓦解。

ジャブローへの軌道を逸れます。崩壊したコロニー前方部がオーストラリアに墜落。着地の衝撃により、オーストラリア大陸の16パーセントが消失しました。

落下地点のシドニーの住民は即死。その後には、シドニー湾と呼ばれる直径500kmのクレーターだけが残りました。

宣戦布告後、一週間の間に全人類120億人のうち55億人が死亡しました。

未だコロニー落としによる2次災害が収まらないうちに、ジオン軍は再度、ジャブローに対してコロニー落としを敢行します。

使用するコロニー確保のため、ジオン艦隊が未だ戦火に巻き込まれていないサイド5「ルウム」に向けて進軍を開始。

その情報をキャッチした連邦軍は出撃可能な艦隊を集結させ、決戦に打って出ます。

U.C.0079.01.15、ジオン軍艦隊がルウムへの攻撃を開始したことにより、「ルウム戦役」が勃発します。

ジオン軍と連邦軍の戦力差は1:3。

戦闘は艦隊の砲撃により始まり、戦艦の数で勝る連邦軍が有利に闘いを進めます。しかし、ジオン軍がMSザクを投入すると同時に、戦闘は一方的な展開となりました。

ミノフスキー粒子散布により、互いのレーダーが機能しなくなる中、次々にジオン軍のザクが軍艦に超高速で接近します。連邦軍にも戦艦を護衛するセイバーフィッシュなどの宇宙戦闘機が配備されていましたが、核融合炉を持つザクのスピードにはついていけず、連邦軍の戦艦は迎撃不可能な至近距離にザクの侵入を次々と許し、零距離攻撃により撃墜されていきます。

結果、数で圧倒的に勝っていた連邦軍の歴史的敗北によって戦闘は終結。事実上、連邦軍宇宙艦隊は壊滅しました。

さらに、攻撃を受けて大破したマゼラン級戦艦「アナンケ」から脱出した連邦軍総司令レビルの脱出艇を、黒い三連星が拿捕することに成功します。

連邦軍宇宙艦隊の壊滅と総司令官を捕虜にしたことで、ジオン公国の勝利は決定的となりました。

ルウム戦役はコロニー落としを餌に連邦軍の残存部隊をおびき出し、せん滅するための作戦であったという説もあります。

ジオン公国軍は大勝したものの、消耗も激しかったため、連邦政府に対し戦争の早期終結を打診します。ルウムで大敗を喫した連邦政府は、実質上の無条件降伏に応じる姿勢でしたが、連邦政府の特殊部隊がレビル奪還に成功。

ジオンの内情を見てきたレビルが、ルナツーで演説を行い、ジオンも戦争で消耗していることを世界が知ることになります。

結果的に、この「ジオンに兵なし」演説で、連邦軍に火が付き、再び戦意が燃え上がります。

そして、ジオン軍は地球の資源確保とジャブロー占領を目的として、地球降下作戦を実行。泥沼の地上戦へと突入していきます。

ここまでが、地球連邦政府の誕生から、ジオン独立戦争に至るまでの歴史です。

ここから、何がジオン独立戦争を引き起こしたのか、そして、連邦政府はなぜそれを止めることができなかったのかについて、第二次世界大戦におけるドイツやアメリカ独立戦争を例に、Sallaちゃんなりの考えを発表します。

なぜジオン独立戦争は勃発したのか

ジオン独立戦争は、アメリカ独立戦争と非常によく似ています。

宗主国である地球連邦政府と植民地であるコロニー。同じく、宗主国であるイギリスと植民地であるアメリカという関係性が似ているというだけでなく、植民地住人の抱いた怒りや不満の理由についても酷似しています。そのため、まずは、アメリカ独立戦争を例に、ジオン独立戦争の本質的原因について考えていきたいと思います。

アメリカの歴史は、フランスやイギリスなど、ヨーロッパ諸国による、北アメリカ大陸の土地の奪い合いから始まりました。やがて、国家間の戦争がひと段落すると、商人達がこぞってアメリカ大陸にやってきました。

そして、タバコなどを栽培するための大量の労働者が必要とされ、イギリスだけでなく、ヨーロッパ中から、労働者を募集します。この募集に集った人々の多くは、経済的に貧しい人々でした。借金返済のため、半ば強制的に連れてこられたり、親に売られた若者や犯罪を犯して流刑された人々もいました。この経済的理由による移民は、ガンダムの世界においても同じ境遇でした。富裕層が地球に残り、貧困層が半ば強制的に宇宙に移民させられました。

しかしながら、イギリスからアメリカ大陸に送られた人々がひどい生活を強いられたかというとそうではありません。アメリカの植民地民は、約100年もの間、本国であるイギリスから、ほとんど制約を受けないまま自由と自治を謳歌しました。

放置された理由としては、イギリスからアメリカが地理的に遠かったこと、イギリスが国内問題に没頭していたことがあげられます。

その100年もの間で、アメリカは独立国家としての要件を確実に満たしていきました。中央政府、国防軍、国法といったものはないにせよ、経済的には完全に独立し、最新の造船技術なども有していました。

しかし、イギリス本国が戦争による資金難に陥ると、イギリス政府は植民地民に対し、お茶、砂糖、印紙など、生活必需品のあらゆるものに課税し、搾取を始めました。

イギリスの議会には植民地の代表者はおらず、植民地の意見が聞き入られないまま、すべてイギリス本国の一方的な利益追及だけを目的として、法律が次々に可決されました。また、イギリス国王や政府にとって、アメリカは植民地であり、ならず者や異教徒たちの集団という差別的意識が、植民地民達のプライドを傷つけ、植民地民の中に、怒りや悲しみを生み出しました。

その結果、植民地民は蜂起。アメリカ独立戦争に至ります。

コロニー住民たちも同じように、地球連邦政府の官僚による、一方的な統治と不公平な税制に苦しめられていました。また、アメリカ人が100年もの間、自治という甘美な果実を味わったのと同様、ジオン公国民も短い間ですが、ダイクンの治世の元、自らコロニーを統治しています。さらに、アメリカがそうであったように、家畜や野菜のような食料はコロニーで自給自足できており、観光用コロニーや重工業コロニーなどもあり、コロニーは地球からの援助なしに自活できていました。

自分たちだけで、生活も政治も可能であるにも関わらず、なぜ高い税金を払ってまで、植民地の内情を理解せず、コロニー住民を見下している地球連邦政府に統治してもらわなければならないのかという怒りが、独立への原動力の一つとなったと考えられます。

第2代合衆国大統領ジョン・アダムスは言いました。「革命は戦闘の始まる前から、かなりはっきりとした形で人々の心と魂の内にあり、団結の中にあった」

ジョン・アダムス

これは、ジオン独立戦争に対しても同じことが言えるでしょう。ジオン独立戦争の根源は、開戦のはるか前からコロニー住民の心の中にあったものであり、移民が開始され、アースノイドとスペースノイド、宗主国民と植民地民という区別が生まれた時から、闘いは始まっていたと言えるでしょう。

しかし、このような怒りがコロニー住民の中にあり、いずれ戦争は回避できなかったとしても、それを利用し、コロニー住民を戦争に掻き立て、扇動したのはザビ家です。ダイクンの死後、ザビ家は、ダイクン派の粛清に成功し、政権を奪取しています。

しかし、それでも、強制的に国民を戦地に送り込むことは、とても困難なことであったに違いありません。ましてや、政府関係者以外はザクの存在を知らず、ジオン公国民は誰も連邦軍に勝てるとは思っていなかったでしょう。仮にザクの存在を知っていたとしても、ルウム戦役を見るまでは、ジオン公国が連邦の宇宙艦隊を壊滅させるなどということは信じられなかったはずです。では、なぜあれほどまでに、ギレン・ザビはジオン公国民を心酔させ、無謀とも言える戦争にジオン公国民を扇動できたのでしょうか、これについては、ドイツのナチスが参考になります。


第二次世界大戦がはじまる前、ドイツは非常に貧窮していました。第一次世界大戦で敗戦したドイツは、ヴェルサイユ条約の規制によって、軍事力は無力化され、植民地や国土の多くを失い、産業も様々な不平等な規制を受け、天文学的な賠償金をも背負わされていました。さらに、1929年に世界大恐慌が起こり、ドイツ経済は他国に増して、壊滅的状況になります。

当時は社会保障や失業保険などはなく、失業者やその家族は、当然のように餓死していきました。そういった状況下で生まれたのがナチスです。職もなく、やり場のない怒りと絶望を抱えた若者たちがナチスに組み込まれていきました。過去の動画「マインドコントロールの恐ろしい使い方」でも述べたように、人間が疲弊した状態にある時、人は嘘だとはわかっていても、耳障りのよいものを信じたくなり、ヒトラーが演説で発する魅力的な言葉に対し、疑問を持つことなく盲信してしまいます。

ヒトラーは集まった若者達をナチス突撃隊として編成し、当時、多数の議席を持っていた共産党員を投獄し、議会を取り囲んで恫喝するなどして、全権委任法を可決させ、独裁政権を獲得します。

しかし、この時点では、誰もナチスが長期政権になるとは思っていませんでした。なぜならば、委任法は時限立法であり、経済不況やヴェルサイユ条約による様々な問題をナチスが公約どおりに解決できるとは思っていなかったからです。

しかし、ナチスはこの問題を全て解決してしまいます。

ナチス以前の政権もデフレ政策や大規模な公共事業計画によって、経済復興を果たすための経済政策を実行しました。しかし、ヴェルサイユ条約による制裁、野党や中央銀行の反対によって、その計画はとん挫し、失敗に終わっています。ナチスも初めは前政権の大規模公共事業計画を踏襲しますが、ナチスはその実行方法において、全く違う手法をとりました。

まず、政治・経済・産業界を強制的同一化によって統合し、さらに、中央銀行を一省庁に編入させ、”経済の独裁”を行いました。

そうすることで、中央銀行や企業連合に政策を邪魔されることなく、経済政策を断行することができました。日本では、行政が経済計画を決め、議会が予算を承認し、中央銀行が資金を供給する。という3つの独立した組織によって行われるプロセスを、ドイツではシャハト経済相が一人で決定できました。

ヒャルマル・シャハト

独裁政権は暴走という危険な側面がありますが、スピードと一貫性においては、議会制民主国家は太刀打ちできません。

また、軍拡に伴う工場、道路、鉄道などの建設による公共事業投資によって、経済を回復させ、徴兵制によって、失業者をなくしてしまいました。この時に作られたインフラは現在でもドイツ経済に恩恵をもたらし、有名なアウトバーンはこの頃に作られた道路を拡張したもので、当時は、航空機の滑走路としても利用されていました。

経済不況は脱したものの、ドイツはヴェルサイユ条約によって、農業危機、原料不足、外貨不足に陥っていました。しかし、それも隣国に侵攻し、直接収奪してしまいます。

このようにして、実益によってナチスは国民の支持を集め、全権委任法による独裁権だけでなく、実質的にも、絶対的支持を受ける政党となりました。

ジオン公国も同じ状況であったと言えます。

ザビ家がダイクン派を粛清し、議会を乗っ取ることができたとしても、軍隊や国民の絶対的支持まで得ることはできません。ましてや、国力差が30対1の戦争に自らの命を捧げだす人は少ないでしょう。しかし、地球連邦政府による経済制裁と宇宙艦隊増強による恫喝で精神をすり減らしている状態で、ダイクンという精神的主導者の死を経験していたジオン公国民は、不安で何かにすがりたいという気持ちが強かったに違いありません。それを利用したのがザビ家であり、ギレン・ザビの演説でした。そして、ドイツがそうであったように、ザビ家は軍拡を推し進めました。軍拡は経済に雇用と資金を供給し、豊かになった人々も少なくなかったはずです。そのような状況から、ザビ家は実質的にジオン公国の指導者として支持を集めていったと考えられます。そして、軍拡による経済成長の先にあるものは、多くの場合、戦争という新たな公共事業です。こう言うと違和感を覚えるかもしれませんが、アメリカも大東亜戦争が開戦されてから、好景気に見舞われています。

経済学では、一般的に戦争は好景気をもたらす要因の一つと考えられています。軍拡によって作られた戦車や弾薬が消費されることで、さらに需要が生まれ、雇用と追加の設備投資を生むからです。もちろん、国内インフラが崩壊するような本土攻撃が敵国からもたらされていないということが条件になります。

そして、戦争を始めると、国民の政権に対する支持率は最高潮に達します。情報統制と連戦連勝の大本営発表によって、国家が独裁者の元、ひとつになっていくのです。

これまでは、ドイツやジオン公国の立場から、戦争に突入していった、理由を考えてきました。ここから、なぜ地球連邦政府はジオン独立戦争を阻止できなかったのかについて、考えます。

ジオンを見誤った連邦政府

連邦政府の立場からジオン公国を見た場合、それは脅威(threat)ではなく、機会(opportunity)と写っていた可能性もあります。地球連邦政府は誕生以来、分断主義者達との戦いによって、自分たちの権力を拡大してきました。しかし、その分断主義者たちも今では壊滅してしまい、地球連邦政府にとって、敵と呼べる勢力はありません。政権が最も簡単に支持を得る方法は敵を作ることです。これは政治だけでなく、企業や新興宗教でも行われる方法です。分断主義者が壊滅した今、連邦政府は、ジオン公国を新たな仮想敵国にしたかったのではないかと考えます。さらに、20年近く続いた分断主義者との戦争で、軍事産業と地球連邦政府官僚や族議員との癒着も進んでいた可能性があります。軍需産業を富ませるためにも仮想敵国は必要だったのです。

事実、このジオン独立戦争によって、軍事産業に参入した月の家電企業大手アナハイム・エレクトロニクス社は、戦争終結後、解体されたジオンの軍事企業ジオニック社の技術者や研究施設を吸収。

家電企業大手アナハイム・エレクトロニクス社

さらにコアファイターなど戦闘機や爆撃機を開発、受注していたハービック社など、連邦政府系軍事企業を次々と買収しています。(ボウワ社、ブラッシュ社など)そして、それ以降、連邦政府に反抗する勢力に対してMSや武器を提供し、戦争を長期化させ、莫大な富を得ていきます。

軍需産業と連邦政府の癒着を証明するかのように、ジオン共和国が警備隊を編成しただけで、連邦政府はサラミス・マゼランを大量に建造しています。そして、その時点では圧倒的な戦力差であったにも関わらず、連邦政府はジオンに対して、実力行使を行っていません。もしこの時、地球連邦宇宙艦隊がサイド3を制圧していれば、ジオン独立戦争は起きなかったでしょう。

当時のドイツにおいても同じことが起きています。ナチスがヴェルサイユ条約を破り、空軍を組織し、ゲーリングがそれを公表してもフランスは黙認しました。

ヘルマン・ゲーリング

さらに、陸軍を増強し、軍事戦略上、最重要地点であるライン川沿岸のラインラントをドイツ陸軍が占領しても、世論の嫌戦ムードに押され、黙認してしまいました。当時のドイツ軍の規模は小さく、フランスはおろか、ポーランドの3分の1の戦力もありませんでした。もしこの時、フランス軍が条約違反を理由にドイツに進行していれば、第二次世界大戦は起きなかったでしょう。皮肉にも、史上最悪の第二次世界大戦を引き起こしたのは、フランスで「戦争反対」と叫び続けた人々であったとも言えます。チャーチルは、このフランスの行動を中傷し、第二次世界大戦は全く必要のなかった戦争だと喝破しています。

ウィンストン・チャーチル

フランスと同様、地球連邦政府にとって、ジオン公国はいつでも叩ける都合の良い仮想敵国であり、向こうから宣戦布告するとは想像もしていなかったでしょう。

しかし、地球連邦政府には、一つ大きな誤算がありました。

その誤算とは、この時代に発見された「ミノフスキー粒子」が戦争に与えた影響です。

ミノフスキー博士

このミノフスキー粒子の特性として、

・レーダー、無線、ミサイルの遠隔操作に対するジャマー効果

・熱核反応炉の安定化、高出力化

といったものがあります。

これら特性によって、それ以前の戦略や戦術が根底から覆えされると確信したジオン公国は、熱核反応炉を持ち、艦隊に対する白兵攻撃戦を仕掛けるMSとそれを運搬・支援する艦隊を編成しました。

地球連邦政府は頻繁に新造艦隊の観艦式を執り行い、圧倒的な戦艦の数により、ジオン公国を震え上がらせたと思っていたかもしれませんが、MS搭載機能を持たない巨大戦艦の増産は、ミノフスキー粒子による電子妨害戦を軽視していることを証明しており、観艦式を見たジオン公国参謀たちは勝利を確信し、ほくそ笑んでいたことでしょう。

連邦政府が、ミノフスキー粒子による戦争への影響を見落としてしまったことにより、人類最悪の戦争は勃発してしまったと考えます。

ここまでの話をまとめると、宇宙世紀元年、地球から移民がスタートした時から、コロニー住民達の中に不満が蓄積し、ダイクンの死と経済制裁によってザビ家独裁政権が誕生。政権維持のための軍拡とそれを黙認してしまった連邦政府によって、ジオン独立戦争が勃発したというのがSallaちゃんの考えになります。もちろん、これが正しいというのではなく、あくまで、一つのガンダムの見方として楽しんでもらえたら嬉しいです。

外国人の反応

ガンダムはすべての人が好きになるアニメではないが、アニメコミュニティには必要なアニメだと思う。

あぁ、ガンダムはアニメコミュのパスポート的存在だよね。

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ガンダムを初めて見たとき、私は人生で初めてアニメを見た気分になったわ。世界が開かれた気分って言ったらいいのかしら。120mm低反動キャノン砲で胸を打ち抜かれた気分。

そして、さらに素晴らしい発見はPSで自分の好きな機体に搭乗して戦えること!ハヤト様のようにガンタンクで荒野を駆け回るの!


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ガンダムって、もはや宗教の一つよね!

はっ、宗教ってガンダムのことだろ?


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ガンダムの主題歌って、いいよな。

俺のカーステはガンダムの主題歌だぜ。そして、エンジン始動と共にこう言うんだ。「すごい、五倍以上のエネルギーゲインがある!」


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ガンダムは俺の故郷だ!

よぉ、ご近所さん!

ザクは、俺の嫁!

ゴックは私の母!

今回は、「アニメでは語られなかったジオン独立戦争」について、Sallaちゃんなりの考えをまとめてみました。ガンダムシリーズは非常に作品数が多く、どうしても見落としが存在してしまいます。また、実際の戦争史についても、私の知識が足らない部分もあると思います。もし、間違いなどを発見した場合は、コメント欄で教えてください。それをまとめたもので、修正版を作りたいと思います。次回は、「なぜジオン公国は敗北したのか」について、今回と同じように過去の戦争を基に分析してみたいと思います。

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One Thought to “【ガンダム】アニメでは語られなかったジオン独立戦争 -戦争の理由-”

  1. 名無しの連邦市民

    こういう話で何時も思うのは、この話する時、皆ダイクン家やザビ家、サハリン家なんかも開戦までは地球連邦の一員だったって事、忘れてないかって事なんだけれども。
    地球連邦が無理矢理ジオン公国民をサイド3に移住させたのは事実だったとしても、じゃあその「強制連行した地球連邦」ってのは一体何者だったのか、っていう。
    「地球連邦」っていう言葉でうやむやになってるけど、ジオン公国の支配層がやったって、当時は「地球連邦の行為」になる訳だから。
    まあ、どうせ後付けでそれまで名前も出て来なかった人物でっち上げて作品にして、映像化してしまえば「コレが公式でござい」って事になるんだろうけども。